
アイアンガーヨガは、B.K.S.アイアンガー師によって確立された、世界で最も練習されているヨガの流派の一つです。このヨガメソッドは「正確さとアライメント」「道具の使用」「タイミングとシークエンス」という3つの大きな特徴により、身体の歪みを改善するのに最も適したヨガとして認知されています。
アイアンガーヨガの最も顕著な効果の一つが、身体の歪み改善です。正確なアライメント(骨格の整合性)を重視することで、心身のエネルギーを高めて筋肉の柔軟性を向上させながら、誰しもが抱える体の歪みを整えることができます。
アライメントを意識した練習により、座る、立つ、歩く、走るなどの日常動作がスムーズになります。これは、体の緩んでしまった部分を引き締め、固まった部分の柔軟性を高める効果によるものです。
身体の歪み改善による具体的な効果:
プロップス(補助具)を使用することで、一人ひとりの体型や柔軟性に合わせたポーズをとって、体のバランスを整えます。ブロック、ベルト、ブランケット、椅子、壁などあらゆる道具を使いながら、正しい身体の使い方と繋がりを意識してヨガポーズを行います。
アイアンガーヨガは、日常生活で蓄積された疲労を回復する効果が期待できます。この疲労回復効果は、体の緩んだ部分を活性化させ、硬くなった筋肉を柔らかくすることで血行改善を促進するメカニズムによるものです。
血流やリンパの流れがスムーズになるため、自然治癒力や抵抗力が高まることも効果のひとつとして期待できます。ポーズを深くとって、体の歪みを矯正していくと人間の体が本来持っている自然治癒力を培い、疲労回復を自分で円滑にできるようになります。
疲労回復における科学的根拠:
アイアンガーヨガが免疫力を向上させる理由は科学的に説明できます。立ちポーズも多いため、全身の筋肉量のうち60%以上を占める下半身が鍛えられ、下半身の筋肉が活性化すると血液の流れが促進されます。
結果として体温が上がり、免疫システムの活性化に直結します。体温の1度上昇は免疫力を約30%向上させるとされており、アイアンガーヨガの継続的な練習は免疫システム全体の底上げに貢献します。
免疫力向上の3つの要因:
また、朝のセッションは一日を通して活力を与え、夕方のセッションは日々の疲れを和らげる効果があります。笑顔になることで自然と身体がリラックスし、免疫力が向上するという副次的な効果も期待できます。
ゆっくりした動きと、呼吸や姿勢に集中することで瞑想状態を作り出すことができるため、ストレス軽減の効果があります。安定した心理状態となることで、心身が一体になった充実感を得られ、体と心の不調が緩和されていきます。
アイアンガーヨガは、アーサナ(ポーズ)、呼吸法、瞑想を組み合わせることで、身体、心、精神を統合し、自己認識を深めていきます。自分自身と向き合い、体の感覚を意識することで、内なる感覚に敏感になることを促しています。
心理的安定効果の特徴:
呼吸法(プラナヤマ)と瞑想(ダーラナ)を実践することで、心を安定させ、内なる静寂と平和を見出すことができます。これがヨガの究極のゴールである体と心と精神の統合に繋がっていきます。
アイアンガーヨガの効果を最大限に引き出すためには、正しいシークエンス(ポーズの組み立て、順序)が重要です。どのアーサナをどういう順序で行うかにより、ヨガの効果はまるで変わってきます。効果どころか害になることもあり、正しい順序と適切な時間配分で行うことが大切です。
アイアンガーヨガでは、生理や頭痛・高血圧など、様々な状態に応じたシークエンスがあり、それぞれの状態に合わせてヨガを行うことができます。このオーダーメイド的なアプローチが、アイアンガーヨガの効果を他の流派と差別化する要因となっています。
効果的な練習のポイント:
正しく行うことで、正しいヨガが身につきその効果を手に入れることができます。アイアンガーヨガの練習は、身体の柔軟性を高めながら、筋肉や関節を鍛え、骨を本来の正しい位置に整える事で身体の歪みを改善させていくため、ある程度の時間がかかりますが、続けることで根本的な歪みや不調の改善に繋がります。
アイアンガーヨガは、ただ体を動かすだけでなく、内面の強さも育て、ストレス社会で生きる私たちにストレスを最小限で抑えて対処する最適な手段を身に付けることができる、総合的な健康促進システムなのです。