
月礼拝(チャンドラ・ナマスカーラ)とは、月の満ち欠けをイメージしたヨガのシークエンスです。サンスクリット語でチャンドラは「月」、ナマスカーラは「礼拝」を意味し、月の持つ穏やかで慈愛に満ちたエネルギーを身体に取り入れるヨガの実践法として親しまれています。
🌸 基本特徴
この月礼拝は、太陽礼拝と対をなすヨガの代表的なシークエンスとして位置づけられています。太陽礼拝が男性的でダイナミックな動きを特徴とするのに対し、月礼拝は女性的でしなやかな動きが中心となっています。
現代のヨガでは、特に女性の心身の周期や月の満ち欠けとの関連性に注目し、クリパルヨガの講師たちによって女性のために編み出されたシークエンスとして知られています。
月礼拝と太陽礼拝には明確な違いがあります。これらの違いを理解することで、それぞれの特性を活かした実践が可能になります。
🔥 太陽礼拝の特徴
🌙 月礼拝の特徴
特に重要な違いは、動きの方向性です。太陽礼拝がヨガマットの前後に動くのに対し、月礼拝はマットを横に使って左右に大きく動きます。この横への動きが股関節周辺を効果的に刺激し、女性特有の不調改善につながります。
また、エネルギーの質も大きく異なります。太陽礼拝は活動的なエネルギーを生み出すのに対し、月礼拝は内省的で静寂なエネルギーを育みます。これにより、一日の終わりに心身をリセットする効果が期待できます。
月礼拝の基本シークエンスは15のポーズで構成されています。各ポーズを呼吸と共にゆっくりと行うことが重要です。
🧘♀️ 基本シークエンス(8つの主要ポーズ)
① 山のポーズ(タダーサナ)
マットの左側に立ち、胸の前で合掌。ゆっくりとした呼吸で集中を高めます。
② 立位の三日月のポーズ
両腕を頭上に上げ、左右に側屈。月の三日月の形を表現します。
③ 女神のポーズ(ウトカータ・コナーサナ)
大きく足を開いてスクワット姿勢。両腕は肘を曲げて横に開きます。
④ 三角のポーズ(トリコナーサナ)
両脚を伸ばして側屈。上の手は天井へ向けて伸ばします。
⑤ 体側を強く伸ばすポーズ
前屈して背中を丸め、体側を深く伸ばします。
⑥ 三日月のポーズ(アンジャネーヤアーサナ)
膝を床につけたランジ姿勢。胸を大きく開いて後屈します。
⑦ サイドランジ
片脚を横に伸ばし、股関節を大きく開きます。
⑧ 花輪のポーズ(マーラーサナ)
深くしゃがんで胸の前で合掌。骨盤底筋群を刺激します。
このシークエンスの後、⑨から⑮で逆側を辿り、最初の山のポーズに戻ります。全体で一つの円を描くような流れになっています。
月礼拝は特に女性の身体と心に深く働きかける効果があります。これらの効果は、月礼拝が股関節や骨盤周辺を集中的に動かすことに由来しています。
💖 身体への効果
冷えやむくみの解消
骨盤周辺のインナーマッスルのこわばりをほぐし、内臓を温めることで血流が促進されます。この結果、慢性的な冷えやむくみの改善が期待できます。
生理痛の緩和
お腹周りを温める効果により、冷えによる生理痛が緩和されます。また、リラックス効果により生理中のイライラも軽減されます。
骨盤矯正効果
股関節回りをしっかりと動かすため、骨盤の歪みを整える効果が高いとされています。
🧠 心への効果
ホルモンバランスの調整
月礼拝の実践により、女性ホルモンのバランスが整うとされています。特に妊活中の女性にも効果的といわれています。
自律神経の調整
副交感神経を活性化することで、ストレスで乱れた自律神経のバランスを整えます。
消化機能の活性化
お腹周りの大きな動きが胃腸を刺激し、消化活動を活発にします。ストレス軽減により腸内環境も改善されます。
これらの効果は、月礼拝が「横への動き」を中心としていることと密接に関連しています。この動きが副交感神経を刺激し、心身をありのままのバランスに整える効果をもたらします。
伝統的な月礼拝に加えて、より効果的な実践方法をご紹介します。これらの方法は、現代女性の生活リズムに合わせて開発されたアプローチです。
🌙 月の周期に合わせた実践法
新月の夜の実践
新月の夜には、意図設定と共に月礼拝を行います。静寂な環境で、これから始まりたいことや手放したいことを心に描きながら実践すると、より深い効果が得られます。
満月の夜の実践
満月の夜は、感謝の気持ちと共に月礼拝を行います。月光の下で行うことで、穏やかに全てを受け止めるような心境になります。
生理周期に合わせた実践
🧘♀️ マントラと組み合わせた実践
月礼拝には14個のマントラが対応しています。各ポーズでマントラを唱えることで、より深い精神的効果が得られます。youtube
基本マントラの例
🕯️ 環境設定のコツ
照明の調整
明るい照明を避け、キャンドルや間接照明を使用します。月の持つ柔らかなエネルギーと共鳴しやすくなります。
アロマの活用
ラベンダーやジャスミンなど、リラックス効果の高いエッセンシャルオイルを使用することで、より深い瞑想状態に入りやすくなります。
音楽の選択
自然音や瞑想音楽など、心を静める音楽を背景に流すことで、集中力が高まります。
呼吸法の工夫
月礼拝では、通常の呼吸よりも長めの呼吸を意識します。特に吐く息を長くすることで、副交感神経がより活性化されます。
これらの独自の実践法を取り入れることで、従来の月礼拝をさらに深く、効果的に行うことができます。特に現代女性が抱えるストレスや身体の不調に対して、より具体的なアプローチが可能になります。