
グランティー(granthi)とは、サンスクリット語で「結び目」「節」「障害」「ブロック」を表す言葉で、ヨガにおいて極めて重要な概念です。これは、チャクラの間にある"結び目"のことで、紐が絡まり固まってしまい、ほどけなくなった感じをイメージしてください。
グランティーがあると、チャクラのエネルギーは欲望に変化してしまい、大きく堅くなると理性が働かなくなり利己的な人間になってしまいます。放っておくと、心は汚くなり、ストレスも高くなり、体調も崩してしまうため、ヨガ実践者にとって見過ごせない問題なのです。
実際、インドの人々はサリーやドティという衣装で、お金を入れる小さなポーチの形を作り、布の一部で結び目を作って閉じますが、このしっかり結ばれた財布もグランティーと呼ばれています。つまり、グランティーは物理的な結び目から精神的な束縛まで、あらゆる「解きにくい結び目」を意味する概念なのです。
ヨガの伝統では、3つの主要なグランティーが存在するとされています。
ブラフマー・グランティー(創造の結び目) 🌱
ヴィシュヌ・グランティー(維持の結び目) 💝
ルドラ・グランティー(破壊の結び目) 👁️
これらのグランティーは、私たちを現実に対する間違った認識(アービディヤ)と自己(アシュミータ)にロックし、魂を縛る働きをします。また、物事に対する嗜好性(ラーガとドヴェーシャ)に留めさせ、死(アビニベーシャ)への恐怖に根付かせる作用もあります。
グランティーは、プラーナヤーマやムドラーの練習によって取り除かれます。特に推奨されているのがバストリカーというプラーナヤーマの実践です。
『ハタヨガ・プラディーピカ』では、「このバストリカーとよばれるクンバカは、スシュムナー気道のなかに生じた頑固な三つの結節(グランティ)を破壊するものであるから、特に修練しなくてはならない」と記されています。
バストリカー・プラーナヤーマの実践手順 🔥
また、古典では「グルのめぐみによって、眠っているクンダリニーが目覚めた時、その時にこそすべての蓮華(チャクラ)と結節(グランティ)とは突き破られる」と述べられています。これは、適切な指導者のもとでの実践の重要性を示唆しています。
実践時には、アーサナ(ヨガのポーズ)、プラーナヤーマ(呼吸法)、バンダ(エネルギーの流れを締める動き)、ムドラー(エネルギーの流れを良くする動き)、チャクラフロー(連続するヨガのポーズ)を組み合わせることで、より効果的にグランティーの解放を図ることができます。
グランティーの解放には、特定のチャクラを活性化するヨガポーズが効果的です。各グランティーに対応したポーズを実践することで、段階的にエネルギーの流れを改善できます。
ブラフマー・グランティー解放のポーズ 🏔️
戦士のポーズは特に重要で、「からまる」ように感じる場所を解きほぐす効果があるとされています。このポーズは、グラウンディング(大地との繋がり)を強化し、基本的な安全感を育むことで、物質的執着からの解放を促進します。
ヴィシュヌ・グランティー解放のポーズ ❤️
ルドラ・グランティー解放のポーズ 🔮
これらのポーズを実践する際は、単に身体的な動きだけでなく、呼吸とプラーナ(生命エネルギー)の流れに意識を向けることが重要です。各ポーズで5-10呼吸キープし、グランティーが解放される感覚を丁寧に観察しましょう。
現代社会では、ストレス、競争社会、情報過多により、新たなグランティーが形成されやすい環境にあります。日常生活でできる予防策とケア方法を実践することで、エネルギーの流れを常に清浄に保つことができます。
日常生活での予防策 🌿
ストレス管理によるグランティー予防 🧘♀️
セルフケアの実践 💆♀️
特に重要なのは、自分自身の内側に常に意識を向け、心の声に耳を傾けることです。グランティーは人生の様々な出来事が原因でできてしまうため、日々の体験を丁寧に消化し、感情を溜め込まないよう心がけることが根本的な予防策となります。
また、定期的にヨガリトリートやワークショップに参加し、集中的にグランティー解放の実践を行うことも効果的です。専門的な指導のもとで、より深いレベルでの解放体験を得ることができるでしょう。