
モヘンジョ・ダロは、パキスタンのシンド州に位置するインダス文明最大級の都市遺跡で、1921年にインド人考古学者R・D・バナルジーによって発見されました。「死の丘」を意味するこの遺跡は、当初は仏教遺跡と考えられていましたが、調査が進むとインダス文明を象徴する印章が発見されたのです。
紀元前2500年から紀元前1800年にかけて繁栄したこの都市は、最大で4万人近くが居住していたと推測されており、その規模は約1.6km四方に及びます。驚くべきことに、モヘンジョ・ダロは短期間で完成した計画都市として建設され、4000年以上前にもかかわらず、緻密な都市計画と高度な測量技術に基づいて建設されました。
都市は西側の城塞部と東側の市街地に分かれており、城塞部には長辺12m、短辺7m、深さ2.5mの大沐浴場があります。この沐浴場は単なる入浴施設ではなく、宗教的・精神的な意味を持つ施設だったと考えられています。
📚 インダス文明の基本情報と発見の経緯について詳細が記載
https://earth.jaxa.jp/ja/earthview/2010/02/24/545/index.html
モヘンジョ・ダロ遺跡の最も注目すべき発見の一つは、瞑想を行う人物が描かれた印章です。この印章には、ヨガの行者のように見える神の描かれた護符(石板)が発見されており、これが現代ヨガの起源を示す重要な証拠として位置づけられています。
発見された印章には以下のような特徴があります。
これらの印章は交易の際に使用されたと考えられており、メソポタミア地方やペルシャ湾岸地域との間で活発な交流が行われていたことを示しています。特に注目すべきは、座った姿勢で描かれた人物像が、現代のヨガの座法(アーサナ)と酷似している点です。
印章に描かれた瞑想の姿勢は、古くから人々が「知ろうとしてきた」証拠として解釈されています。これは私たちがどうすれば安心して生きられるのか、苦しまずに生きられるのか、不安を払拭するために養う力は何かという根本的な問いに向き合っていたことを示しています。
モヘンジョ・ダロの都市設計において最も特筆すべきは、高度な水利システムです。各戸には井戸があり、多くの家には沐浴室が設けられていました。各戸から出た下水は路地の排水溝へ導かれる仕組みになっており、現代の上下水道システムの原型ともいえる高度な技術が使われていました。
この水への特別な配慮は、単なる衛生面だけでなく、精神的・宗教的な意味合いも持っていたと考えられます。
🏺 沐浴場の宗教的機能
🚰 個人レベルでの水の活用
水は古代インド思想において浄化と再生の象徴であり、モヘンジョ・ダロの住民たちが日常的に水を使った精神的実践を行っていた可能性があります。これは現代のヨガにおける浄化法(シャットカルマ)の原型とも考えられます。
インダス文字は400種類ほど発見されていますが、現在でも解読されていません。しかし、銅板に描かれた多くの画像が他の銅板と一致しており、同じキャプションを持っていることから、体系的な文字体系が存在していたことは明確です。
文字解読の困難さにもかかわらず、視覚的な図像から読み取れる情報は豊富です。
🔍 図像に見る精神的実践
📜 文字解読への期待
モヘンジョ・ダロで発見された瞑想の図像は、現代のヨガ実践者にとって重要な示唆を与えています。4500年前の人々も現代と同様に、内面的な平和と精神的な成長を求めていたという事実は、ヨガの普遍性を物語っています。
インダス文明は紀元前1800年頃から急速に衰退し、間もなく消失してしまいました。その原因については複数の説が提唱されていますが、どれも確証はありません。
主要な衰退説には以下があります。
🌊 環境変動説
🌳 環境破壊説
しかし、モヘンジョ・ダロの精神文化は完全に消失したわけではありません。印章に描かれた牛やシヴァ神の原型と思われる神などが、その後のインド文化に引き継がれたことが確認されています。これは現代のヨガ実践においても重要な意味を持ちます。
現代のヨガ実践者にとって、モヘンジョ・ダロの衰退は以下の教訓を与えています。
💡 持続可能な実践の重要性
🧘 普遍的な精神性の継続
モヘンジョ・ダロの教訓は、現代のヨガ実践者が持続可能で調和のとれた生活を送る上で、貴重な指針となります。古代の知恵を現代に活かすことで、より深いヨガ実践が可能になるのです。