
ナウリは腹直筋を使って内臓をマッサージする古典的なヨガの浄化法です。この技術の核心は横隔膜の操作にあります。息を吐き切ると横隔膜が最も高い位置に上がり、それに伴って内臓が引き上がり、お腹が凹むという仕組みを利用しています。
ナウリの動作では、腹直筋を順番に動かすことでお腹を動かします。完成形は腹部前部の腹直筋の収縮、左腹直筋の収縮、右腹直筋をリズミカルかつスピーディーに繰り返すことで波のように見えるのです。
この技術は格闘家のヒクソン・グレーシー氏がトレーニングに取り入れたり、片岡鶴太郎氏が披露したことで一般的に知られるようになりました。
ナウリで鍛えられる筋肉群:
ナウリは腹直筋や胃・腸などの内臓を動かすため、消化不良や肝臓疾患に効果的です。腹直筋を動かすことで腹部のガスを排出し、便秘を解消してくれます。また胃腸が活発に動くようになることで、食事で摂取したものがきちんと吸収されるようになります。
現代の解剖学的な視点から見ると、ナウリの主な効果は以下の通りです:
胃腸の不調改善:
体幹強化による姿勢改善:
ヨガ愛好家の片岡鶴太郎氏も実践できるように、正しい練習を重ねれば誰でも習得可能な技術です。
ナウリの習得には段階的なアプローチが必要です。まず腹式呼吸ができなければ、ナウリはできません。以下が基本的な練習手順です:
ステップ1:ウッディヤナ・バンダの習得
ステップ2:腹直筋の分離練習
ウッディヤナ・バンダの状態から、腹筋を左右に動かす練習を行います。上体を少し左へ傾けながら腰を少し右へ傾けると、右側のお腹の力が抜けるので、腹直筋を右に動かすイメージがつきやすくなります。
ステップ3:ナウリの実践
左右の腹筋を順番に動かし、腹部を回転させるようにします。初心者はゆっくりと練習を始め、無理をせずに少しずつ腹筋の動きをコントロールできるようにしましょう。
ナウリを効果的に練習するには、事前の準備が重要です。お腹を柔らかくしておくと動かしやすくなるため、マッサージから始めましょう。
腹部マッサージの手順:
呼吸法の準備練習:
実際のナウリ練習では、食後3時間以内、お腹を下している時、生理中、妊娠中は避けるべきです。また高血圧や胃潰瘍などの症状がある人も行わないでください。
一般的なナウリの指導では横隔膜と腹直筋に焦点を当てますが、実際の習得には心理的アプローチも重要な要素となります。多くの練習者が見落としがちなのは、内臓感覚(内受容感覚)の発達です。
意識的な身体感覚の開発:
エネルギー的アプローチ:
ヨガの伝統では、ナウリは第3のチャクラ「マニプーラチャクラ」を活性化し、全体の生命エネルギーであるプラーナの流れも良くなると考えられています。この観点から、以下の練習も効果的です:
現代的な応用法:
スポーツパフォーマンス向上のために、格闘家やアスリートがナウリを取り入れる例が増えています。腹圧のコントロールは重要なコア機能であり、瞬発力や持久力の向上に寄与します。
また、ストレス管理の観点から、自律神経の調整にも効果があるとされており、現代のマインドフルネス実践としても注目されています。定期的なナウリの実践により、集中力、直感、感度、気力などがアップするという報告もあります。
習得には時間がかかりますが、段階を踏んで継続的に練習すれば、誰でもマスターできる技術です。重要なのは無理をしないことと、身体の声に耳を傾けながら練習することです。