
ラフティーヨガ(笑いヨガ)は、1995年にインドの医師マダン・カタリア博士によって考案された健康体操です。「笑いと深呼吸を組み合わせた健康体操」として、ユーモアや冗談に頼らない「ただ笑うだけ」のエクササイズが特徴的です。
この革新的な健康法は、マダン・カタリア博士とヨガの熟練者である奥様マヂュリー・カタリアとともに、たった5人で公園から始まりました。現在では世界100カ国以上に広がり、1万以上のクラブが定期的に活動しています。
ラフティーヨガの基本要素は4つあります。
エクササイズはグループで行い、最初は作り笑いから始まりますが、参加者同士が目を合わせているうちに笑いが伝染し、気づいたら自然な笑いに変化します。
笑いヨガの最も重要な特徴は、科学的根拠に基づいた効果が期待できることです。笑うことの効果が科学的に証明されるためには、少なくとも10分から15分は続けて笑う必要があります。
作り笑いでも本物の笑いと同じ体への作用があることが医学的に証明されており、この科学的根拠に基づいてラフターヨガエクササイズが生まれました。
具体的な健康効果:
さらに、横隔膜が動くことで副交感神経が刺激され、リラクゼーション効果が生じます。これにより血管や筋膜がゆるみ、血流促進効果が期待できます。
認知症予防への効果も期待されており、笑いにより脳内のアルファ波が増大することでリラックス状態が促され、脳の血流も良くなるため、記憶力アップや認知症予防への効果も期待できます。
ラフティーヨガは特別な器具や技術は必要ありません。基本的な実践方法は以下の通りです。
基本的な流れ:
実践者からの体験談では、**「あんな風に笑えるのかな?と不安だったのですが、皆さんと一緒にいつの間にか笑ってました」**という声があります。また、「身体には作り笑いと本物の笑いの区別がつかない」ことを実感し、どちらも身体的精神的な効果を得ることができると感じた参加者もいます。
職場での効果も報告されており、**「驚くほどにサクサク意見が言えて、眠いかと思いきやサクサク仕事もはかどりました!」**という感想もあります。
介護職の女性は、ラフティーヨガ後の勤務で「心身ともにスッキリしていました」と述べ、周囲から「いいことあった?」と言われるほどの変化があったと報告しています。
ラフティーヨガの継続的な実践には、コミュニティの存在が重要です。全国に数多くのラフタークラブが存在し、リーダーやティーチャーの資格を持った指導者が運営しています。
クラブ参加のメリット:
日本では特定非営利活動法人(NPO法人)ラフターヨガジャパンが普及活動を行っており、全国のクラブ情報を提供しています。
また、Facebookのバーチャルカフェとして「笑いヨガカフェ」があり、ティーチャー同士の情報交換や各地のイベント案内が行われています。このようなオンラインとオフラインを組み合わせたコミュニティが、継続的な実践をサポートしています。
資格制度も整備されており、リーダー、ティーチャー、マスタートレーナーの3つの資格講座が用意されています。これにより、自らがクラブを運営したり、職場で活用したりすることも可能です。
現代社会でラフティーヨガが注目される背景には、日常生活での笑いの機会の減少があります。ストレス社会と呼ばれる現代では、過度な長時間労働や一人で抱え込みがちな子育て環境など、笑えなくさせる要因が多く存在します。
従来の笑いの限界:
一方、ラフティーヨガは能動的で条件に左右されない笑いを提供します。毎日通勤前に参加できる朝のクラブや、週1回の定期クラブ、月1回の家族参加型クラブなど、様々な形態で笑える場所を確保できます。
メンタルケアの一環として企業や施設での導入も増えており、従来のストレス解消法とは異なるアプローチとして評価されています。特に、理由なく笑うことで笑いの健康効果を確実にするという点が、現代人のニーズに合致しています。
さらに、世界105カ国に広がっている実績は、文化や言語の壁を越えた普遍的な健康法としての価値を示しています。日本でも2006年頃から徐々に浸透し始め、現在では多様なライフスタイルに対応できる健康習慣として定着しつつあります。