
アシュラムでの生活は極めて規則正しく、決められた時間割に従って過ごします。朝は5時に起床し、瞑想から一日がスタート。その後、ヨガクラス、食事、カルマヨガ(労働奉仕)、講義、再び瞑想と続きます。
典型的な日課は以下のようになります。
この厳格なスケジュールにより、自然と生活リズムが整い、身体の調子が良くなり、精神も安定してくる効果があります。時間だけでなく、空間でも生活が区切られており、瞑想はメディテーション・ホール、ヨガはヨガ・ホール、食事は食堂と、それぞれ専用の場所が決まっています。
アシュラムには厳格なルールが存在し、精神修行に集中できる環境を作り出しています。主なルールとして、酒・タバコ・ドラッグ・肉・魚・卵は禁止されており、完全なベジタリアン食事が提供されます。
重要なルールの詳細。
生活設備も非常にシンプルで、電気は最低限、エアコンなし、シャワーは水のみ(ただし夏場は屋上のタンクで水が温まりお湯が使える)、洗濯機もなく全て手洗いとなります。これらの制限により、現代的な便利さから離れ、自分自身と向き合う時間が確保されます。
アシュラムでの食事は単なる栄養摂取以上の意味を持ちます。食事を作る人々は味見をすることなく、まず祭壇に捧げてから参加者にサーブされるという特別なプロセスを踏みます。これにより、食事は神聖な行為として扱われます。
食事の特徴。
この食事体系は、身体を浄化し、心を落ち着かせる効果があるとされています。また、食事を通じて自然との調和や、生命への感謝の気持ちを深めることができます。
アシュラム生活では、物質的な豊かさから離れ、シンプルな生活を送ることで自分自身を見つめ直し、心の平穏を取り戻す機会が得られます。参加者の多くが、自分のエゴを満たすためではなく、自然や季節、時の流れの一部として自分を実感するようになります。
主な精神的メリット。
しかし、最初の数日間は「この生活に意味があるのか?」と疑問を感じる参加者も多く、実際にアシュラムを去る人もいます。重要なのは「頑張りすぎないこと」の大切さを学び、自分のペースで取り組むことです。
一般的にアシュラム生活の精神的メリットは広く語られますが、現代人特有の課題や隠れたデメリットも存在します。特に日本人にとって文化的ギャップは大きな障壁となることがあります。
現実的な困難要素。
これらの困難は、実は深い学びの機会でもあります。日本の生活基準と比較してしまいがちですが、「足りないものだらけ」の環境こそが、本当に必要なものと不要なものを見極める力を養います。重要なのは、これらを「我慢すべき困難」として捉えるのではなく、「異国の生活を知る貴重な体験」として受け入れることです。
また、意外な発見として、「インド人の身体が思ったより硬い」という現実があります。テレビやゲームの影響で柔軟なイメージを持ちがちですが、実際には欧米系の参加者の方が日常的なヨガ実践により身体が柔らかいケースが多く見られます。これは、先入観を捨てて現実を受け入れる大切さを教えてくれる体験でもあります。