
スーリヤナマスカーラ(サンスクリット語:Surya Namaskara)は、「スーリヤ(太陽)」と「ナマスカーラ(礼拝・挨拶)」を組み合わせた言葉で、太陽神に対する全身を使った祈りの動作を意味します。英語では「Sun Salutation(サン・サルテーション)」と呼ばれ、日本語では「太陽礼拝」として親しまれています。
太陽礼拝は、もともとインドで伝統的に行われていた太陽神への祈りとして用いられていましたが、次第に一般人向けに取り入れられ、健康体操としてのヨガの動きの一つとして普及されるようになりました。現代的なヨガの練習として20世紀初めに成立したと言われています。
スーリヤは太陽の物質的な意味だけではなく、すべてのものに光やエネルギーを与える神様という意味も含んでおり、「1日の始まりに、光(エネルギー)を与える神様に挨拶し、そのお恵みに感謝する」という深い意味が込められています。
太陽礼拝は基本的に12のポーズから構成される一連のシークエンスです。この12という数字は、1年12ヶ月のサイクルを反映しており、一つ一つのポーズが12ヶ月の各月と連動しているとされています。
太陽礼拝Aの基本的な流れは以下の通りです。
呼吸に合わせて動作を連動させていくことが最も重要で、息を吸いながら1動作、吐きながら次の1動作を行います。
太陽礼拝は朝の練習に最適とされており、以下のような多様な効果があります:
身体的効果:
生理学的効果:
太陽礼拝の動きは前屈と後屈の動きを繰り返す全身運動で、身体の動きに呼吸を合わせることによって、深い呼吸、リズミカルな呼吸を促進します。
太陽礼拝を正しく行うためには、以下の要素を意識することが重要です。
呼吸との連動:
各ポーズは呼吸と動作を完全に同期させることが基本です。無理に呼吸を合わせようとするのではなく、自然な呼吸のリズムに動作を合わせていきましょう。
体幹の使い方:
なるべく体幹の筋肉を使って行うようにし、手先だけで行わないようにすることが大切です。手先だけで行っていると、長いヴィンヤサの中で体力をかなり消耗してしまい、手首などに疲労がたまって痛みにつながることがあります。
流れを重視:
それぞれのポーズに執着せず、流れに乗って気持ち良く進んでいくことを重視しましょう。完璧なポーズよりも、スムーズな移行を心がけることが重要です。
礼拝のシークエンスは、呼吸・動作・イメージを合わせ「身を整えて、祈ること(その振る舞いをすること)」が大切で、そこに意識を集中させることが最も重要です。
太陽礼拝を安全に行うためには、以下の注意点を守ることが重要です。
禁忌事項と注意点:
初心者向けの軽減法:
怪我の予防:
歯を食いしばりながら痛みに耐えて行ったり(息が止まってしまいます)、翌日膝が痛くなったりしては本末転倒です。自身の状態を理解し、今の自分にとってのスムーズさに重きを置いてポーズを展開することが大切です。
太陽礼拝は単なる運動ではなく、身体・呼吸・心を統合した瞑想的な練習でもあります。量よりも質を重視し、丁寧に行うことで、太陽礼拝の真の恩恵を受けることができるでしょう。