スリ・K・パタビ・ジョイスとアシュタンガヨガの源流

スリ・K・パタビ・ジョイスとアシュタンガヨガの源流

スリ・K・パタビ・ジョイスとアシュタンガヨガの教え

アシュタンガヨガの源流と継承
🕉️
偉大なマスターの生涯

1915年から2009年まで活動したスリ・K・パタビ・ジョイスの功績

伝統的な練習システム

決められた順番と呼吸を連動させるヴィンヤサシステム

🌸
現代への継承

世界中に広がるアシュタンガヨガの教えとマイソールスタイル

スリ・K・パタビ・ジョイスの生涯とアシュタンガヨガの確立

スリ・K・パタビ・ジョイス(1915-2009年)は、現代アシュタンガヨガの創始者として広く知られています。彼はクリシュナマチャリヤに師事し、アシュタンガ(ヴィンヤサ)ヨガを確立しました。この革新的な練習システムは、後に欧米に伝わり、パワーヨガやヴィンヤサヨガの原形となり、近年世界中でヨガが普及する重要な役割を果たしています。
パタビ・ジョイス師の教えの特徴は、呼吸(胸式の呼吸法)、目線(ドリシュティー)、動作(アサナ:ヨガのポーズ、ヴィンヤサ:流れ)が全て決められており、その決められた順番通りに呼吸と動きを連動させながら練習を行うインドの伝統的なヨガの流派として確立されている点です。
彼の指導は南インドのマイソール市で行われ、現在ではその孫であるシャラート・ランガスワミが教えを引き継いでいます。この地名から「マイソールクラス」という練習形態も生まれ、世界中のアシュタンガヨガ愛好者の間で親しまれています。

スリ・K・パタビ・ジョイスのアシュタンガ練習システム

アシュタンガヨガは、全部で3つのメインシリーズに分けられており、細かく分けると6シリーズまで存在します:
プライマリーシリーズ(1st)

  • スリヤナマスカーラA&B(太陽礼拝)
  • スタンディングシークエンス(立位のポーズ)
  • シッティングシークエンス(座位のポーズ)
  • フィニッシングシークエンス(逆転のポーズなど)

インターミディエイトシリーズ(2nd)

  • セカンドシリーズ:神経器官、エネルギー経路の浄化

アドバンスシリーズ(3rd-6th)

  • サードシリーズ以降:更に深い身体と神経器官の浄化

このシステムの革新的な特徴は、各自のレベルに合わせて無理なく続けて行くことで、体力増進と意識の活性化に効果があり、心身共に健康を促進させることができる点にあります。

スリ・K・パタビ・ジョイスのアシュタンガ呼吸法と集中力向上

パタビ・ジョイス師が確立したアシュタンガヨガの呼吸法は、単なる身体的な練習を超えて、意識の活性化と集中力の向上に深く関わっています。アシュタンガヨガの呼吸は胸式呼吸法を基本とし、ウジャイ呼吸(勝利の呼吸)と呼ばれる特殊な呼吸テクニックを使用します。

 

この呼吸法では、鼻から吸い鼻から吐く際に、喉の奥で軽い摩擦音を作ることで、呼吸をより意識的にコントロールできるようになります。この音は海の波の音に似ており、練習者の集中を深め、瞑想的な状態を作り出すのに役立ちます。

 

現代の研究では、このような意識的な呼吸法が認知機能に与える影響が注目されています。ストレスの多い現代社会において、規則正しい呼吸は心理的な安定をもたらし、集中力を向上させる効果があることが確認されています。パタビ・ジョイス師の教えは、この点で現代科学の知見と合致する部分が多く見られます。

スリ・K・パタビ・ジョイスのアシュタンガ・マイソール式指導法

パタビ・ジョイス師が開発したマイソール式指導法は、現代のヨガ指導において革命的なアプローチとして認識されています。この指導法の名前は、アシュタンガヨガ発祥の地であるインド南部カルナータカ州マイソール市から由来しています。
マイソールクラスでは、練習会場に来た方から、決まった順番通りに個々に練習をスタートします。一般的に朝の時間帯に開催されますが、現代社会の生活リズムに合わせて、午後や夕方以降の時間帯にも開催されています。
この指導法の最大の特徴は、生徒一人一人のレベルと体調に完全に合わせて練習できる点です。指導者は練習会場内を見て回り、個々に合ったアドバイスやアジャスト(ポーズの補助)を行います。これにより、練習者は自分の呼吸、心拍数を感じ、同調し、観察し続けることができるので、適度な速さと強度で練習することが可能になります。
このシステムは、西洋の集団指導型のフィットネスクラスとは対照的で、より個人的で内省的な練習環境を提供します。

 

スリ・K・パタビ・ジョイスのアシュタンガ認定システムの価値

パタビ・ジョイス師が生前に確立したアシュタンガヨガの認定システムは、現在でもその価値と権威が世界中で認められています。この認定システムには「Authorized(オーソライズド)」と「Certified(サーティファイド)」の2つのレベルがあり、どちらもマイソールで直接パタビ・ジョイス師から指導を受けた者のみに与えられました。

 

例えば、ロルフ・ナウジョカット氏は1996年にパタビ・ジョイス師から最高認証(certified)を受けており、現在でも世界各地でアシュタンガヨガの指導を続けています。このような認定を受けた指導者たちは、パタビ・ジョイス師の直接の教えを継承し、伝統的な練習方法を世界に広める重要な役割を担っています。
興味深いことに、多くの認定指導者の家族もアシュタンガヨガの実践者となっています。例えば、マット・コリグリアーノの両親は1980年代前半にパタビ・ジョイス師とアシュタンガヨガの練習を始めました。このように、アシュタンガヨガは単なる練習システムを超えて、世代を超えた生き方の哲学として受け継がれていることがわかります。
この認定システムは、現在のヨガ業界において、真の伝統的な教えと商業的なヨガとを区別する重要な基準となっています。パタビ・ジョイス師の直系の教えを受けた指導者たちは、その責任の重さを理解し、伝統を守りながらも現代の実践者に適応した指導を行っています。